しごとBANK事業について
(平取町移住者就労支援事業)
平成23年11月7日
特定非営利活動法人ほかげ
これからの平取町の健全な経営状況を維持していくためには、適正な人口規模を維持していかなければなりません。
しかしながら、過疎・高齢化が進む平取町の現状において、既存の出生や出生支援の事業のみによってその人口規模を維持していくことは困難であることから、外からの移住者(IUJターン)を誘致するための移住・定住政策も必要であると考えられます。
近年、平取町に限らず地方への移住や山村留学を希望する人たちは増加しているが、どの地域を見ても、仕事(就労先)が無いことが最後の一歩を踏み出すことができない要因となっています。
かつてのバブル期とは違い、就労先としての大手企業の誘致などは現実的ではなく、移住者誘致に成功している地域に共通しているのは、SOHO的な起業や小さな仕事を組み合わせる方法を支援しているということです。
移住や山村留学を希望する誰もが起業したり、個人で営業しながら仕事を組み合わせたりすることは困難であるため、また、それらの人たちの営業や事務・経理を集約することが効率的であることから、特定非営利活動法人ほかげでは、しごとBANK事業を企画・実施いたします。
●事業の概要
この事業は、しごとBANKを核として、しごとBANKの営業活動によって町内外から集めてきた仕事を、仕事を求める移住者に対して外注する形で提供していくものです。
1、実施主体と就労の形態
この事業は特定非営利活動法人ほかげが実施します。
しごとBANK会員(求職者)とほかげとは雇用契約を結ばず、しごとBANK会員は個人事業主としてほかげから業務を外注されます。
2、業務の範囲
・コンピュータに関するサポート業務
修理、セッティング、インターネット接続、周辺機器接続、購入時セッティング、ソフトウェアのインストール、オークション代行など
・コンピュータの指導に関する業務
各種ソフトウェア操作指導、ブログ作成指導、各種講習会、その他周辺機器の活用など
・文書作成、代書に関する業務
企画書、報告書、決算書、議事録、会報、その他申請書類など
・デザイン、広告、宣伝に関する業務
チラシ、ポスター、名刺、メニュー、パンフレットなどのデザインと作成
Web広告の作成と代行
・事務サポートに関する業務
経理代行、営業代行、販売代行など
業務システムの構築
・情報収集に関する業務
Web調査、文献調査、実地調査、写真撮影および報告書の作成など
・その他
3、業務の募集と告知(求職と求人)
・業務の募集(求職)
Web募集、営業活動(平取町内外共通)
ポスター、新聞折込、週報掲載など(平取町内のみ)
求人媒体(平取町外のみ)
・業務の告知(求人)
Web告知、メール配信
4、しごとBANK会員(求職者)の範囲
しごとBANKにより仕事を提供する対象者としては、平取町への移住者を最優先としますが、移住者だけで対応しきれない場合には、しごとBANK町内サポーター(平取町の住民で、消化しきれない業務を請け負う人の組織)、しごとBANK町外サポーター(平取町外の住民で、消化しきれない業務を請け負う人の組織および、連携する諸団体など)の順で求人を行います。
5、業務報酬の流れと運営経費
しごとBANKは就労斡旋や派遣事業ではないことから、全ての業務はクライアント(業務の依頼者)としごとBANK(NPOほかげ)との間で契約され、業務報酬はクライアントからしごとBANKに対して支払われます。
しごとBANKは、しごとBANK会員に外注費として業務報酬を支払います。
しごとBANKはクライアントから受け取る業務報酬と、しごとBANK会員へ支払う業務報酬の差額を以て運営経費とします。
しごとBANK会員への報酬額(報酬率)は、業務により都度定めるものとします。
●事業の展開と課題
この事業は、徳島県上勝町で展開されているいろどり事業(通称葉っぱビジネス)の派生系と考えることができます。
いろどり事業では、農協が集めてきた仕事(葉っぱの出荷)を組合員(のお年寄り)がこなしていきます。
しごとBANKではこの葉っぱの出荷が様々な仕事になるということ、様々な葉っぱ(仕事)を扱うということです。
スタートは移住者のための仕事として始めますが、地域のお年寄りの技術を活かした仕事や、地域にある既存の企業や作業所等との連携も考えられます。
言い換えると地域を一つの大きな企業として捉えることができるということです。
大きな企業を誘致せずとも、大きな仕事に取り組むことも可能になります。
ここで、問題となるのは仕事の情報を同時に多数の人に届けるということです。
いろどり事業でもこのことは非常に重要視されていましたが、上勝町にはもともと防災無線を利用したFAXシステムがあったことからこの問題は解決することができました。
しごとBANK事業が携帯電話やパソコンを使いこなせる世代から、そのことが困難な人たちへと展開していくときには課題となると考えられます。
また、事務局と外注という様な形態もいずれは、協同組合や有限責任事業組合(LLP)としていく必要があるかもしれません。
いずれの課題についてもまずは小さなところから始め、課題をひとつひとつ解決しながら展開していこうと考えます。